体重圧と、生き方と。
スウェディッシュマッサージで一番難しいのは、力を使わず、体重圧だけで施術することだと私は思っています。
腕や手の力で押すと、施術者は早く疲れます。
それだけでなく、お客さまも「押されている」と感じて体が緊張し、かえって緩まなくなってしまいます。
一方、自分の体重を真上から預ける圧は、深いのに不思議と痛くない。
受け手が無意識に受け入れられる、やわらかな圧になります。
ところが、これを体得するのが本当に難しい。
立ち位置、足のスタンス、骨盤の向き、肘や肩の角度、そのすべてが噛み合って、はじめて「乗る」ことができるからです。
手首が立っていたり、肩が上がっていたりすれば、その時点でもう力を使ってしまっている。
「乗っているつもり」で、結局腕で押している、ということが本当に多いのです。
長年生徒さんを見ていて思うのは、この「乗れない」理由が、人によってまったく違うということです。
・頭で理解してからでないと体が動かない人がいます。
・脱力したくても、力の抜き方そのものがわからない人がいます。
・自分の体重を相手に預けることに、どこか抵抗がある人もいます。
そして、これは技術の問題というより、その人の生き方そのものなのだと感じています。
普段から考えてからでないと動けない人は、施術中も思考が先に立って体が固まる。
人に頼ることが苦手な人は、ベッドの上でも自分の重さを相手に預けられない。
日々の体の使い方や心の在り方が、そのまま手から出てしまいます。
だからスウェディッシュは、技術を教えているようでいて、その人自身の在り方に向き合ってもらう仕事でもあるのです。
生徒さんが「乗れる」ようになる瞬間は、技術が変わったというより、その人の中で何かが緩んだ瞬間であることが多いです。
技術を教えるだけなら、正直そう難しくはありません。手順はマニュアルにできるからです。
けれど、本当にお客さまを緩められるセラピストを育てるためには、その人の生き方を見られなければならない。
なぜ脱力できないのか、その人がどう生きてきたのかまで含めて受け止めて、はじめて言葉が届く扉が見つかります。
私が指導で大切にしているのは、そこです。
手から出るものは、ごまかせません。
だからこそ、技術の前に、その人自身と向き合う時間を一緒に過ごしていきたいと思っています。
KAORI
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